宇佐メガソーラー=計画自体が問われる
宇佐メガソーラーの問題で高知県治山林道課と話し合ったことの報告です。 「宇佐を守る会」で11月21日行いました。
「宇佐を守る会」は、この間県との話し合いを重ねてきました。 計画自体がいよいよ問われると状況が明らかになってきました。
◆ソーラーパネルの設置計画変更が決まらない。 計画では約8㏊を自然斜面(ただし表層土除去)利用と約2haを切土造成でパネルを設置するとしています。 この計画を事業者は変更しようとしています。6月ぐらいからそういう話は出ていました。ところがまだ決まっていないというのです。
なぜ決まらないのか。現地は平均斜度34度の急傾斜地です。そもそも施工は難しいということを明らかにしているのではないでしょうか。
近くの県道を挟んで向かいの山の斜面が今年の夏の豪雨で崩れています。開発地内でも、作業道沿いの斜面が何か所か崩れたことも伺いました。
現地を視察しても、こんなところにつくるのかと驚く急な斜面です。 事業者は自然斜面利用部は「表層土を残したい」と考えているといわれています。しかし、急傾斜地では表層土を残すと、崩れやすくなります。森林をのけた急傾斜地は危ないのです。実際に技術士の方が斜面の安定計算をして危ないと指摘しています。だから表層土を除去するとしたものです。 表層土をのけてしまうと、森林が復活しません。急傾斜地で表層土を大規模にのけるほどの自然破壊はありません。長期的に、農地や海洋に栄養がいかなくなる。二酸化炭素を吸収する森林が育たなくなります。 また表層土を除去する計画でありながら、その残土の処分量を算定していません。県に問うと表層土はあまりないと考えたといいます。ところが、今年1月の事業者による地質調査では表層土は結構ありそうなのです。そもそも表層土を除去すると計画を決めた段階から、処分量を見込むべきでした。 
ー本年11月頃の現地 既に伐採されたパネル設置部(自然斜面利用部の一部)と作業道沿い斜面の崩れ
宇佐のメガソーラーに反対であることはもちろんですが、工事計画の問題などを指摘してきました。工事計画や内容の一定の改善などもはかられてきたものです。
今回も 1)洪水調整池前に、木材伐採を含めてパネル設置部の増税や作業道の造成(既存部分の手入れ)は許されない。 5月の事業者の工事説明会では、洪水調整池ができる前に造成工事や作業道などの工事もするようになって驚いたものです。 これについては前回も洪水調整池を他の工事に優先することでは一致していましたが。木材伐採は認めていました。今回は、木材伐採を含めて、洪水調整池の完成が優先される姿勢が示されました。
2)洪水調整池の完成は、擁壁断面の設計変更検討のため当初10月中から来年1月末の見込みに。
これは調整池の周囲に設ける擁壁の地盤を軟岩層であると設計していたからです。 しかし私たちは、調整池の南側と西側には前事業者のつくった盛土があり擁壁の地盤や裏込め材としては不安視し指摘してきました。設計に一定反映させることになったものです。
3)洪水調整池周囲の盛土の対応が一定示される。 2014年に高知県を襲った8月豪雨によって、開発地内にある前所有者が造成した盛土が崩れ住民に避難指示が出される災害を出しています。盛土は本来締め固めて施工するものですが、恐らくここの盛土は無造作に積み重ねた捨土だと見られています。 この盛土は、開発地の南端にあります。ソーラーパネルの設置は、奥の山の斜面を利用する計画です。問題は、調整池は盛土の西側の谷となっているところを拡張してつくる計画になっていることです。調整池の構造が不安定になり洪水時に盛土斜面が崩れて、調整池に流入する。調整池の排水口を塞ぐことが考えられます。 ところが林地開発審議会に提出されたメガソーラー計画では、この危険盛土を考慮した対応がないののです。
今回2)に示したように、調整池の設計に盛土辺りでの不安定さが考慮されるとのこと。 ◆調整池の盛土の斜面は設計では1:1としていました。これは岩盤層と同じ勾配で正しくありません。今回、盛土斜面側は1:2と緩くすることが示されました。 ◆盛土の南側(下流側)斜面の手前には沈砂池が設けられました。盛土の南側斜面はもろく大雨のため濁流を出していましたが一定の対策がされたものです。 
-調整池と盛土

-2014年8月斜面崩壊 -本年2022年6月頃の現地 ~崩壊後の斜面が浸食でジャバラ状に。 前所有者の実施した作業道の斜面が崩れがみえる。

開発地に隣接する県道の両側の山の斜面。それぞれ崩れています。 
メガソーラーの開発図 黒丸が崩れが主な崩れがあるところ。
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